肺癌とイレッサについて

H. 健康保険の自己負担限度額の減額について

癌の治療にはお金がかかります。そのため、健康保険の高額療養費制度を活用していらっしゃる方も多いと思います。この制度には、低所得者向けに、自己負担限度額を更に減額する制度があるのですが、いざ申請しようとして、現実的には「使えない」制度であることが分かりました。改善が必要です。

癌になると、入院や療養に長期を要するため、已む無く失職する人も多いと思います。健康保険では、こうした低所得者を対象として、自己負担限度額を一般所得者の額の半分以下に減額する制度があります。しかし現実的にはこれが「使えない」のです。

下図をご覧下さい。
標準負担額減額認定を申請するためには、市区町村の非課税証明書が必要です。例えば、平成25年が非課税であったことを証明する平成26年度の非課税証明書は、確定申告が終了した平成26年4月以降、発行可能となります。しかし、この平成25年が非課税であったことを証明する証明書を適用して減額される医療費は、平成26年8月から翌平成27年7月までの医療費で、実際に低所得者であった平成25年の医療費ではないのです。制度上は過去2年に遡って払い戻しを請求することができるのですが、平成25年の医療費の払い戻しの請求に使用するのは、平成23年または24年に低所得者であったことを示す証明書であり、ほとんどの癌患者は私と同様に、この期間は所得があり、低所得者ではありません。

低所得者向けの健康保険の自己負担限度額の減額は、実際に低所得者であった期間の医療費の払い戻しに使えない

経験上、癌の治療は初年がもっとも医療費がかかります。そして、その期間に失職して低所得者になっている時期が重なります。本制度は、実際に低所得者であった期間の医療費の払い戻しを請求できるように改善が必要と考えます。

明らかに現状を知らないお役人の作った欠陥制度です。

この件に関し、協会けんぽは、「法律に従って制度を運用しているので、法律を変えてもらうしかない」とのことです。