事故現場に遭遇
先週に2km足して、34km走る目標で、まだ暗いうちに多摩川に向かう。多摩川大橋の手前。国道一号に停車している車が1台。変なところに車を停めてるなぁ、と見ていると、運転席から人が降りてきて、逆方向に走っていく。きっと落し物か何かだろう、と見ていると、その人が立ち止まったところに、自転車と人が倒れている。交通事故だ。
「大丈夫ですか?」と近付いていくと、さっきの人が「私電話を持っていないので、電話してくれませんか」と言う。倒れている人は、「う~ん、う~ん」とうなっていて、頭の近くには血が流れている。こりゃ、急がねば。早速119に電話。
「はい、事故ですか、急病ですか?」
「交通事故です。人が倒れていて、頭から血が出ています。」
「場所はどこですか?」
「国道一号の多摩川大橋のすぐ近くの、東京側。スズキアリーナの前です。」
「住所を教えて下さい。」
えっ? 住所? 知るわけない。あたりを見渡しても商業施設ばかりで住居表示らしきものは無い。
「済みません。分かりません。住居表示らしきものも見当たりません。」
「住所を教えて欲しいんです。」
あんたの目の前には、地図を表示できるパソコンは無いのか?
人が住んでいない(住所の無い)田舎道ではどう対応しているんだ?
と半ばブチ切れかけたが、そんなことを議論している時間は無い。
「200mほど離れたところに交番がありますので、今からそこに行って住所を聞きますから、ちょっと待って下さい。」
そして、200mダッシュ。
交番のおまわりさんに事情を説明して、電話を渡して、住所を伝えてもらう。
119のあとは110に電話しようと思っていたので、その手間が省けたとはいえ、ここまで数分を費やしてしまった。もし、1分1秒を争う症状だったらどうするんだ、と救急センターに怒りを感じながら、現場に戻る。
すると、先ほど倒れていた人が立っていた。
「大丈夫ですか?」
「だいじょーぶです。」と言って、自転車に乗ろうとする。
えっ?
「今、救急車を呼びましたので、病院に行った方が良いですよ。」
「だいじょーぶです。」
「頭から血が出ているのを知っていますか?」
「えっ?」と言って、頭に手をやり、その手のひらを見る。「なんじゃこりゃ」
お前は、松田優作か!
すぐに、さっきのおまわりさんが駆けつけ、その人から事情を聴いていたが、どうやら自分に何が起こったのか覚えていないらしい。かなり強く頭を打ったようだ。
さて、私の役目はこれでおしまい。おまわりさんに「それでは失礼致します。」と言って立ち去ろうとすると、
「ちょっと確認したいことがあるんで、もうしばらくお付き合い下さい。」
「私は事故の発生現場は見ていないんです。」
「そうなんですか?」
「はい。私が着いた時には、自転車の人が倒れていました。私は、その人に頼まれて119番に電話したんです。」
「分かりました。でも、ちょっとそこにいて下さい。」
それから待つこと20分。寒い。体の芯まで冷え切ってしまい、震えが止まらない。このままじゃ俺が救急車に乗る羽目になる。
「あの~、連絡先を残していきますので、もう行ってもよろしいでしょうか?」
すると、あっさり「はい、良いですよ。」
えっ、じゃぁ最初からそれでいいじゃん。
その後、最初に向かった先はトイレであった。
【後日談】2月14日追記
人命救助に関わる話なので、消防庁に電話をして改善を要望しました。
(1) 総務庁消防庁
「119番の対応ポリシーは各地方自治体の消防庁に任せているので、東京消防庁に電話して欲しい。」とのことでしたので、東京消防庁に電話しました。
(2) 東京消防庁
「119は外部と遮断された環境にあるため、Google Mapのようなものは見ることができない。携帯電話からの位置の特定はアバウトなので、他の手段でもっと正確に場所を特定する必要がある。地図は手元にあり、普通は見るはずですが、当時の対応を確認します。」とのこと。
ネットワークを物理的に完全に分離して、Google Map等の地図サービスだけにアクセスできるようなパソコンを導入することは難しいことではないので、1秒でも早く救急車を現場に向かわせることを考えれば、まだまだ改善の余地があると感じました。